「アーロと少年」はピクサー映画の中でも最もトリビアや隠しメッセージが少ない作品の一つで、これまでほとんど明らかになっていない。しかしそんな中でもいくつか裏話やトリビアが存在するのでそれを紹介したい。
1、ピクサーが初めて2つの作品を同じ年に上映
「アーロと少年」はアメリカにおいて同じ年にピクサーが初めて2つの作品を上映した作品の一つだ。ちなみにもう一つの作品は「インサイドヘッド」。
これまで数年置きに一つの作品を上映するというペースだったのが、これらの作品だけ特別扱いとなった。
2、アーロと少年の監督は降板している
アーロと少年を監督したのは韓国系アメリカ人のピーター・ソン。しかし本当は「カールじいさんの空飛ぶ家」で監督と脚本を担当したボブ・ピーターソンがメガホンを執る予定だった。
というのもピクサーは同時期に「カーズ2」、「モンスターズ・ユニバーシティ」、そして「アーロと少年」などの作品を製作していたため、製作段階でかなりの問題を抱えていたのだ。
その混乱の中、ボブ・ピーターソンは別の作品を担当することなり、代わりにピーター・ソンが指揮を執ることになったのだ。ちなみにピーター・ソンが正式に監督に就任してからは、ストーリーはオリジナルのものから、大幅な変更が加えられた。
3、ピーター・ソン監督はディズニー映画を監督した最初のアジア人
ディズニー映画史上アジア人として初めて監督となったのが本作で指揮を執ったピーター・ソンだ。彼の両親は韓国人で、彼自身はニューヨークのブロンクスで生まれ育った。
ピーター・ソンは数多くのクリエイターを排出しているカリフォルニア芸術大学に在学中、ピクサー作品でもお馴染みのブラッド・バード監督の出世作「アイアン・ジャイアント」の製作に携わったことがきっかけでアニメ業界に入った。
その後、ウォルト・ディズニー・カンパニー、ワーナー・ブロスを経て現在のピクサーに移籍している。
4、モンスターズ・ユニバーシティにアーロがいた
同時期に複数の映画を製作していたことはすでに述べたが、そのうちの一つが「モンスターズ・ユニバーシティ」だ。そのときから「アーロと少年」の製作が進められていたことから、上のシーンではおもちゃとして緑色の恐竜アーロが登場している。
5、インサイド・ヘッドにはフォーレスト・ウッドブッシュがいた
「インサイド・ヘッド」でライリーの思い出を振り返るシーンで、実はフォーレスト・ウッドブッシュのモデルとなった恐竜が一瞬登場する。
ピクサー映画では次回作品のキャラクターを登場させることはもはや慣例となっている。
6、ライオンキングのオマージュシーン
アーロとスポットが夕焼けの中を駆け巡るシーンは実は名作「ライオンキング」をモチーフとしたシーンだ。二つはシーンを比較すると、そっくり。変わっている部分といえば、CGの技術ぐらいだろうか。
7、スポットはダーラの先祖だった?
「ファインディング・ニモ」の悪役といえば、シャーマン医師の7歳の姪っ子ダーラ。誕生日になると観賞魚を貰いに診療所にやってくる少女は乱暴で、水槽をたたいたり、魚を振り回したりするため、魚たちからは恐れられている。
そんな彼女の特徴は歯の矯正器具と大きな目だ。よく見ると、その目と口元はスポットそっくり。実は二人は血が繋がった遠い親戚なのではないかといわれている。
8、ジュラシックパークのオマージュシーン
劇中、アーロとスポットが他の恐竜に襲われて危機一髪のとき、Tレックスに救われるシーンは実はジュラシックパークがモデルになっている。
ジュラシックパークでは博物館の中で博士が小さな恐竜に襲われるシーンがあるが、そのときもTレックスが横から入って小さな恐竜に噛み付いてくれたおかげで、命拾いするシーンがあった。
9、謎の暗号A113
ピクサー映画には必ず登場する謎の暗号「A113」がこの作品にも登場する。アーロが畑に向かうとき、その柵にご注目。木の枝でできた柵は確かに「A113」の形になっているのだ。
ちなみに「A113」の意味は「ディズニー映画に登場する秘密のコード「A113」とは?」で説明している。
10、「南の島のラブソング」のオマージュシーン
「インサイド・ヘッド」と同時上映された短編映画「南の島のラブソング」のレレとウクを連想させるシーンがある。「南の島のラブソング」は広い海にそびえる火山という設定だったが、ここでは雪山になっている。ただ、その形といったらそっくりだ。
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